1歳半から2歳半まで
1年、何を試しても変わらなかった

苦い薬は、気づかれないように、そーっと塗っていました。
すると、明らかに「ん!!」となって指を外して、自分の指を見ているんです。あの姿、今も目に浮かぶんですよね。
でも、だんだん警戒されるようになりました。最後の方は「ゆびたこを治すお薬だよ」と、何を塗っているのかも話していたんですけどね。
塗らせてくれなくなったり、塗っても構わずしゃぶっていたりで、結局こっちが根負けしました。
親指を布で覆ってみたり、絵本を読んでみたりもしました。ほかに何かないかな、と探しては試す。1歳半から2歳半まで、そんなことを1年続けていました。
2歳半過ぎ
2歳半、本屋でもう一度読んだ日

1回目 · 2歳前ごろ
2歳前ごろに一度「ゆびたこ」を読んでいます。そのときは特に反応がなく、指しゃぶりにも変化はありませんでした。
2回目 · 約1年後
約1年後、別の本を探しに行った本屋で、もう一度、同じ本を手に取りました。ついでに、軽く見てみて、というくらいの感じで一緒に読んだんです。今度はじーっと見ている。「そうなのかー」という感じで、話が入っていっているように見えました。読んだあともしばらく、本に出てくるおばけを気にしていたと思います。
あれだけ続いていた指しゃぶりが、その日から止まりました。
本のおかげだったのかな。話が分かる年齢になっていたのかな。それとも、たまたま時期が重なっただけなのか。何が決め手だったのかは、分からないんです。
その日から、その後へ
そのあとの2か月

すぐに完全にゼロになったわけではありません。2年以上の習慣なので、体に染みついています。何かの拍子に、無意識で指をくわえていることがありました。
ただ、3秒ほどで自分ではっと気づいて、指を外して笑うんです。そういう場面が3回ありました。こちらから声をかけたわけでも、指摘したわけでもありません。本人が気づいて、本人が外していました。
そこから2か月、習慣として戻ってはいません。
あれこれ1年間やってきたのに、最後は自分で気づいて、指を外して笑っている。こちらは声もかけていないんです。これを見たら、誰かに話したくなってしまって。この話を聞いてほしかったんですよね。
なお、「ゆびたこ」はうちでは1回目も2回目も本屋で読んだだけで、買っていません。くせさなえさん作、ポプラ社の32ページの絵本で、指しゃぶりをする子の指たこが話し始めるお話です。出版社の紹介ページには、主な対象年齢は3〜5歳、定価は1,430円と掲載されています(2026-09-17確認)。出版社の年齢の目安と、うちで読んだ2歳前・2歳半過ぎという時期は異なります。

ここからは、調べた話
歯並びと「免疫」。
当時から気になっていたこと。
「指しゃぶりで出っ歯になる」という話も、「指しゃぶりは免疫にいい」という話も、当時から知っていました。それでも、歯並びの心配はなくならなかったんですよね。この二つの話はあらためて調べて、下にまとめました。
指しゃぶりで出っ歯になるって、本当?
影響は、吸い方によって変わる。
- 回数吸う頻度
- 時間続く長さ
- 強さ吸う力
「必ず出っ歯になる」とも、「都市伝説だから気にしなくていい」とも言えません。
日本小児歯科学会は、3歳ごろまでは特に禁止する必要はないと案内しています。
説明と出典を読む
日本小児歯科学会に載っている資料には、指しゃぶりを続けるほど歯並びやかみ合わせに影響が出てくる、とあります。挙がっている例は、上の前歯が前に出る状態や、上下の前歯のあいだにすき間ができる状態です。どの指をどう吸うかによっても変わる、とも書かれています(日本小児歯科学会「指しゃぶりについての考え方」。2006年の資料です)。
米国小児歯科学会の指針も、影響が出るかどうかは吸う回数や続く時間、強さによる、という書き方です(米国小児歯科学会 Management of the Developing Dentition and Occlusion)。「指しゃぶりをしたら必ず出っ歯になる」わけでも、「都市伝説だから気にしなくていい」わけでもない、というのが読んでみての受け止めです。
日本小児歯科学会は、3歳ごろまでは特に禁止する必要はなく、4歳を過ぎても頻繁に続く場合は専門家が連携して対応する、と案内しています(日本小児歯科学会 Q&A)。先の2006年の資料には、小児科医には、不安や緊張をやわらげる面を重く見て無理にやめさせない意見が多い、とも書かれていました。
うちがやめさせようとしていた1歳半から2歳半は、この案内でいえば、まだ禁止しなくていいとされる時期です。それでも出っ歯は避けたかった、というのが親の正直なところでした。歯並びや吸い方が気になるときは、年齢で決めつけず、小児歯科で見てもらうのが確実だと思います。
「免疫にいい」という話は、何が分かった研究なのか
この研究で比べたこと
爪かみの習慣
皮膚反応
習慣があった人は、皮膚検査で反応する割合が低かった。
「病気への抵抗力が上がる」
と示した研究ではありません。
説明と出典を読む
よく引かれるのは、ニュージーランドで同じ人たちを長く追いかけた研究です(Lynchら、Pediatrics 2016)。5歳から11歳のころに指しゃぶりや爪かみの習慣があったかどうかと、13歳と32歳で受けた皮膚検査の結果を比べています。習慣があった人は、ダニやネコなどのアレルゲンに皮膚検査で反応する割合が低かった。ここが「免疫にいい」と言われる部分です。
ただ、同じ研究で、ぜんそくや花粉症との関係は見られませんでした(ニュージーランドでの調査で、日本のスギ花粉症を調べたものではありません)。皮膚検査で反応が出ることと、実際にアレルギーの病気になることは別で、この研究では後者との関係は確認されていません。風邪をひきにくくなる、といった病気への抵抗力を調べた研究でもありません。
研究チームのいる大学も、この習慣を勧めるものではない、と説明しています(オタゴ大学)。調べられたのは5歳以降の習慣で、爪かみも含んだ結果です。「2歳の指しゃぶりが免疫を強くする」とまでは、この研究からは言えません。
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家族の写真は、淡いイラスト調に加工しています。挿絵はイメージです。絵本の表紙・本文を再現したものではありません。
